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Fénix 2はどう設計されたのか一人ずつ地上へ運ぶ救出カプセルの構造

Fénix 2はどう設計されたのか|一人ずつ地上へ運ぶ救出カプセルの構造

鉱山事故・救助

2010年10月9日。

Plan Bの救出孔が、地下622mの坑道へ貫通した。

33人を地上へ戻すための「出口」は、ようやく完成した。

しかし、その孔は人間が歩いて通れるトンネルではない。

直径は約70cm級。

地下から地上まで、600m以上続く細長いボーリング孔だった。

人間が一人、ほぼ立った姿勢で収まるのが精いっぱいの空間である。

ここを一人ずつ通すためには、

人間を固定したまま、数百mの孔を安全に上下できる専用の搬送装置

が必要だった。

しかも救出孔は完全な直線ではない。

途中にはわずかな曲がりや径の変化がある。

カプセルが壁に衝突する。

回転する。

途中で引っ掛かる。

通信できなくなる。

乗っている人が失神する。

最悪の場合、その人をカプセルから脱出させなければならない。

こうした異常系を一つずつ考えて設計されたのが、

Fénix 2(フェニックス2)

だった。

今回は、救出映像では細長い白・青・赤の筒にしか見えないFénix 2が、

なぜその形になったのか

を構造から追う。


CASE FILE 32|チリ鉱山33人救出 2010(全10回)

  1. 第1回|チリ鉱山33人救出とは?
  2. 第2回|なぜサンホセ鉱山は崩落したのか
  3. 第3回|生存確認までの17日間
  4. 第4回|どうやって地下の33人を見つけたのか
  5. 第5回|地上と地下をどうつないだのか
  6. 第6回|33人の出口をどう掘ったのか
  7. 第7回|Fénix 2はどう設計されたのか|一人ずつ地上へ運ぶ救出カプセルの構造【現在の記事】
  8. 第8回|33人はどう地上へ戻ったのか
  9. 第9回|救出成功のあと何が問われたのか
  10. 第10回|映画『チリ33人 希望の軌跡』はどこまで実話なのか

先に結論|Fénix 2は「細いエレベーター」ではない

Fénix 2の構造を単純化すると、

鋼製の一人乗りケージ

である。

しかし一般的なエレベーターとは考え方が大きく違う。

エレベーターなら、かごを通すために設計された直線的な昇降路がある。

Fénix 2が通るのは、

岩盤を掘削して作った約600mの救出孔そのもの

だった。

したがって設計で重要だったのは、

設計課題 Fénix 2側の考え方
孔との接触 側面の車輪で衝撃・摩擦を抑える
回転 巻上げ系・ケーブル側でも回転を抑える
乗員保持 ハーネスで身体を固定
呼吸 酸素供給を装備
通信 マイク・スピーカー等で地上と連絡
途中停止 乗員を地下側へ逃がす異常時対応を考慮

つまりFénix 2は、

正常に動くことより、「正常に動かなかった場合にどうするか」を強く意識した装置

だった。

設計を担当したのは誰だったのか

Fénix 2については、

「NASAが設計した」

と説明されることがある。

これは正確ではない。

Codelcoの公式記録では、Operación San Lorenzoの運用部門を担当していたManuel MontecinoManuel Kuwaharaらが救出方式を検討し、機械技師Alejandro PobleteがFénix 2の概念・基本設計を担当したとされている。

PobleteはCodelcoのEl Teniente部門で32年間勤務した経験を持つ技術者だった。

Codelcoによれば、彼は最初の検討段階で、

トイレットペーパーの芯と細い棒を使った簡単な模型まで作りながら構造を考えた。

その設計をもとに、チリ海軍系の造船・整備組織

ASMAR(Astilleros y Maestranzas de la Armada)

が実機を製作した。

つまり大きく整理すれば、

Codelco側で運用要求と基本構想をまとめ、Pobleteらが設計し、ASMARが詳細設計・製作へ落とし込んだ

という流れになる。

NASAは何をしたのか|「設計」ではなく要求仕様の助言

NASAの役割は別にあった。

チリ政府から技術支援を求められたNASAは、医療・心理・栄養だけでなく、救出カプセルについても助言を求められた。

NASA Engineering and Safety CenterのClinton Craggらは米国へ戻った後、技術専門家を集めた。

約3日間で、

50項目を超える設計要求・推奨事項

をまとめてチリ側へ送っている。

NASAが考えたのは、

「カプセルを何色にするか」

といった詳細設計ではない。

もっと上位の、

「人間をこの条件で搬送するなら、最低限何を考えておかなければならないか」

というシステム要求だった。

FACT CHECK|Fénix 2はNASA製?

違う。

NASA自身も、最終的なカプセルを設計・製作したのはチリ側であり、NASAは要求仕様や安全上の助言を提供したと明記している。

NASAのClinton Craggも後年、

「私たちは提案しただけで、設計と製作という難しい仕事を実行したのはチリ側だった」

という趣旨を説明している。

したがって本シリーズでは、

Fénix 2=チリ設計・製作、NASA=技術要求への助言

と区別する。

最大の設計制約は「直径」だった

NASA側がチリで最初に確認した条件の一つが、

救出孔よりカプセルを大きくできない

という当たり前だが絶対的な制約だった。

救出孔は約66~70cm級。

現在チリのMuseo Regional de Atacamaに保存されているFénix 2の文化財登録では、

直径約53cm、高さ約395cm

と記録されている。

つまり救出孔とカプセルの間には、大きな余裕があるわけではない。

しかも孔は完全な円筒でも完全な直線でもない。

岩盤面には凹凸がある。

上部96mには鋼管が入っている。

その先は岩盤面が露出している。

途中では径や状態もわずかに変化する。

したがって、

カプセルを単に「孔より細くする」だけでは不十分

だった。

長すぎてもいけない|孔の曲がりを通過できなくなる

もう一つ重要なのがカプセルの長さだった。

細長くすれば、乗員を保護する構造を作りやすくなる。

しかし長い剛体を、曲がった細い孔へ入れるとどうなるか。

両端が壁面へ接触し、途中で引っ掛かる可能性が高くなる。

NASAのJ. Michael Duncanは後の証言で、

救出孔がどの程度真っすぐなのか完全には分からず、

カプセルを長くしすぎれば孔の湾曲部でスタックする可能性がある

ことを設計条件として挙げている。

直径だけではない。

長さも、救出孔の形状によって決まっていた。

側面の「10個の車輪」は何のためだったのか

Fénix 2の外観で特徴的なのが、上下に並んだ小さな車輪である。

Museo Regional de Atacamaの登録資料では、

上部と下部を合わせて10個の小型格納式車輪

を備えていたとされる。

これは自動車のように走行するためではない。

役割は、

救出孔の中心付近へカプセルを保持し、鋼製ケージが岩盤へ直接ぶつかるのを減らすこと

だった。

Codelcoの設計者Pobleteも、Fénix 2の重要なポイントとしてこの車輪を挙げている。

NASA側でも、孔との摩擦対策として、

テフロン系の摺動材を使用する案と、

ばね付き車輪を使用する案

が検討されていた。

最終的には車輪方式が採用された。

なぜ車輪に「ばね」が必要なのか

救出孔の径が全区間で完全に一定なら、固定されたローラーでもよい。

しかし実際のボーリング孔には変動がある。

狭いところ。

広いところ。

局所的な凹凸。

鋼管と岩盤面の境界。

そこで車輪がある程度動ければ、

孔径の変化へ追従できる。

産業設備で言えば、

固定ガイドではなく、ばね荷重を持つフローティングガイド

に近い考え方である。

カプセルを完全に壁から離すことはできなくても、

衝撃と摩擦を減らしながら中心位置を保ちやすくなる。

カプセル自体が回転する問題

数百mのケーブルに物体を吊るすと、

ねじれや巻上げ動作によって吊荷が回転する可能性がある。

普通の資材なら多少回転しても大きな問題にならない。

しかしFénix 2には人間が立っている。

狭いケージの中で長時間回転すれば、

乗員の負担になる。

CodelcoによればFénix 2は直径24mmのケーブルで吊り上げられ、回転を抑えるようケーブル側にも工夫が加えられた。

車輪と巻上げ系の双方で、

カプセルをできるだけ安定した姿勢のまま上昇させる

ことが考えられていた。

乗員は「立っているだけ」ではない|ハーネスで固定する

カプセル内部は極めて狭い。

乗員はほぼ立位の姿勢になる。

しかし途中でカプセルが急に揺れたり止まったりしたとき、

身体を自分の筋力だけで支える設計にはできない。

そのためFénix 2にはハーネスが装備された。

これによって乗員の身体をケージ内に保持する。

NASA側はさらに、

乗員自身が一人で装着できること

まで要求事項として検討していた。

救出時、地下には救助員がいる。

それでも設計思想としては、

「専門家が外から複雑な作業をしなければ乗れない装置」

より、

できるだけ少ない操作で人を確実に固定できる装置

の方が安全だった。

問題は酸素不足だけではない|CO₂も考えなければならない

Fénix 2の内部は狭い。

しかも乗員の上下には鋼製構造がある。

通常運転なら、地上まで十数分程度で到達できる。

しかし設計段階では、

移動に1~4時間程度かかる可能性

までNASA側へ伝えられていた。

もし途中で停止すれば、それ以上になる。

その場合、

酸素を消費する。

二酸化炭素を排出する。

高温環境で身体も消耗する。

そこでFénixには酸素供給設備が搭載された。

Museo Regional de Atacamaの登録資料では、

4本の酸素ボトルとマスク

を備えていると記録されている。

NASAの要求検討でも、

酸素を供給することに加え、

酸素状態を監視すること

が提案されていた。

地上との通信は必須だった

カプセル内にはマイクとスピーカーも搭載された。

これは単なる安心のための装備ではない。

地上側から、

「現在どの位置にいる」

「まもなく停止する」

「異常はないか」

と確認できる。

乗員側からも、

痛み。

息苦しさ。

めまい。

異音。

異常な振動。

などを伝えられる。

NASA側は、可能であれば双方向の音声・映像通信を持たせることも推奨していた。

人間を600m以上離れた狭い空間へ入れる以上、

乗員状態を地上側から完全にブラックボックスにしない

ことが重要だった。

最大の異常系|途中でFénix 2が動かなくなったら?

Fénix 2で最も深刻な故障モードは分かりやすい。

孔の途中でスタックすること

である。

地上へ約300m上がったところで岩盤に引っ掛かる。

上にも動かない。

下にも動かない。

その中に人間がいる。

この状況は、通常の機械故障とは意味が違う。

修理員が外からアクセスできない。

酸素にも時間制限がある。

人間は狭い空間で立ったままである。

NASA医師James Polkは、

この状態が長時間続けば、

循環器系の問題や酸素・CO₂の問題が生命に関わり得ると指摘している。

NASAが要求した「上へ行けないなら、下へ戻れること」

このためNASA側が強く意識したのが、

非常脱出

だった。

もしカプセル自体が岩盤へ固定され、地上側から動かせなくなった場合、

乗員だけでもそこから脱出し、

地下へ戻れる構造

を検討する。

NASAの設計要求では、乗員がハーネス等を利用して下方へ脱出できることが提案された。

ASMAR側で製作されたFénix系列には、上部構造を切り離すことを想定した構造も設けられたとする技術記録が残っている。

重要なのは、

「地上へ上がれなくなった場合、カプセル内に閉じ込めたままにしない」

というフェイルセーフ思想である。

正常時の安全より、異常時の逃げ道を持たせる

Fénix 2の設計思想を制御設備に置き換えると分かりやすい。

通常運転なら、

巻上機が動く。

カプセルが上がる。

20分前後で地上へ到達する。

それだけでよい。

しかし人命を預ける設備では、

「正常運転できる」ことだけを安全とは呼べない。

必要なのは、

巻上げ停止。

孔内スタック。

通信断。

酸素問題。

乗員体調悪化。

こうした異常が発生したとき、

次に取れる手段が残っていること

だった。

Fénix 1・2・3|一台だけを作ったわけではない

救出カプセルも一台だけではなかった。

ASMARでは複数のFénixカプセルが製作された。

現地での主要な役割は、

カプセル 主な役割
Fénix 1 救出孔での事前試験
Fénix 2 実際の救助員・33人の搬送
Fénix 3 バックアップ

だった。

つまり、ここでも

実機一台にすべてを依存しない

考え方が使われている。

第6回のPlan A・B・Cと同じである。

救出孔も複数方式。

カプセルも試験機・実運用機・予備機。

単一故障点をできるだけ減らす構成だった。

試験用Fénix 1を先に入れた理由

Plan Bの孔が完成しても、

図面上、

「直径が足りている」

と確認しただけでは不十分だった。

実際にカプセルを通し、

どこかで接触しないか。

車輪が正常に追従するか。

巻上げに異常負荷がないか。

途中で止まらないか。

を確認する必要がある。

そのためFénix 1による試験が行われた。

Museo Regional de Atacamaの資料では、Fénix 1は救出孔を約610mまで降下させる試験に使用されたとされている。

本番用Fénix 2へ人を乗せる前に、

ほぼ全経路を実機相当で確認した

ことになる。

地上側だけではなく、地下側にも工夫があった

Codelco設計者Pobleteが特に挙げている工夫が、

Fénixが地下へ到着したときの着床方法

である。

地下側ではカプセルの着地点に鉱石を盛った土台を作った。

その上へFénixを着床させることで、

カプセルを救出孔から完全に抜き切らないようにする。

もし完全に孔から外れて横へずれれば、

次に上昇させるとき、

細い孔へ再び正確に挿入するのが難しくなる。

そこで下端を救出孔の軸線付近へ残し、

次の上昇時にも自然に孔へ戻れる状態

を保った。

派手な機構ではない。

しかし繰り返し37回以上も上下させる運用を考えると重要な工夫だった。

仕様値は資料によって少し違う

Fénix 2の寸法や重量を調べると、資料ごとに数字が一致しない。

例えばCodelcoの2010年報告は、

高さ約4.5m、重量約250kg

と記録している。

一方、現在Fénix 2そのものを所蔵しているMuseo Regional de Atacamaの文化財登録では、

高さ395cm、直径53cm

と実物寸法が登録されている。

ASMAR製の同系列カプセルについては、400kg台の重量を記録する資料もある。

したがって本記事では、

「高さ約4m級・直径約53~54cmの鋼製一人乗りカプセル」

という範囲を基本仕様として扱う。

FACT CHECK|Fénix 2は250kg? 400kg以上?

公式・準公式資料でも重量表記が一致しない。

Codelcoの2010年報告には約250kgという記述がある一方、ASMAR製のFénix系列について400kg台とする資料も存在する。

カプセル本体のみか、装備を含むか、どのFénix個体を測定したかなどで条件が異なる可能性がある。

そのため、本シリーズでは重量を単一の確定仕様値として使用しない。

最も重要なのは「一つ一つが特別な技術だった」ことではない

Fénix 2の構成要素を一つずつ見ると、

どれもSFのような技術ではない。

鋼製フレーム。

ローラー。

ケーブル。

ハーネス。

酸素ボトル。

マイク。

スピーカー。

機械工学としては、既存技術の組み合わせである。

Fénix 2が特殊だったのは、

地下622m・直径約70cm・救出孔は曲がっている・途中からアクセスできない・乗っているのは人間

という条件に対して、それらを一つの装置へ統合したことである。

設計思想を一言で表すなら「途中で失敗する前提」

Fénix 2の設計を通して最も見えやすいのは、

故障しない装置を目指すだけではなく、故障した場合まで先に考えている

ことである。

壁へ当たるかもしれない。

だから車輪を付ける。

回るかもしれない。

だから巻上げ側でも回転を抑える。

乗員が倒れるかもしれない。

だからハーネスで保持する。

時間がかかるかもしれない。

だから酸素を持たせる。

異常が起きるかもしれない。

だから地上と通信する。

カプセルが動かなくなるかもしれない。

だから乗員だけでも地下へ逃げる方法を考える。

そして本番機に人を乗せる前に、

試験機を実際の孔へ通す。

これは、

人命を扱う設備の典型的なフェイルセーフ設計

だった。

10月12日夜|最初に乗ったのは鉱山作業員ではなかった

救出孔。

巻上げ設備。

通信。

医療体制。

そしてFénix 2。

すべてがそろった。

しかし最初にFénix 2へ乗って地下から上がったのは、33人の誰かではない。

救出作戦を始めるには、

まず救助員を地上から地下へ送る必要があった。

Fénix 2の最初の重要任務は、

人を救い上げることではなく、

人を地下へ送り込むこと

だった。

Codelcoの救助員Manuel GonzálezがFénix 2へ乗り込み、

600m以上下にいる33人のもとへ降りていく。

そこから、一人ずつ地上へ送る作業が始まる。


次回|33人はどういう順番で地上へ戻ったのか

10月13日午前0時10分ごろ。

最初の作業員Florencio ÁvalosがFénix 2から地上へ出た。

しかし救出順序は単純な「名前順」ではない。

最初に誰を乗せるか。

健康状態の悪い人を先にするのか。

それとも、Fénixに何か問題が起きた場合に対応できる人を最初にするのか。

一人を上げる。

カプセルを点検する。

再び地下へ降ろす。

次の一人を乗せる。

この運用が約23時間続いた。

途中では映像用の光ファイバーまで切断される。

それでも救出は止まらなかった。

次回は、

第8回「33人はどう地上へ戻ったのか|Fénix 2による約23時間の全員救出」

で、10月12日夜から13日夜までを時系列で追う。


出典・参考資料

  • Codelco, Reporte de Sustentabilidad 2010 / “Fénix 2: Hecho en El Teniente”
    ― Alejandro Pobleteによる概念・基本設計、ASMARでの製作、車輪、着床方法、ケーブル、ハーネス、通信装備などを確認。
  • Codelco, “Tenientinos recuerdan el rescate de los 33”
    ― Manuel Montecino、Alejandro Poblete、ASMAR等の設計・製作分担を確認。
  • NASA History, “Chilean Miners Rescue Oral Histories”
    ― NASAの支援が医療・心理・栄養から、救出カプセルのengineering requirementsへ拡大したことを確認。
  • NASA Engineering and Safety Center / ASK Magazine
    ― 50項目超の設計要求、酸素、通信、ハーネス、非常脱出、摩擦低減、ばね付きローラー等の提案を確認。
  • NASA Johnson Space Center Oral History Project,
    J. Michael Duncan / James Polk / Clinton Cragg
    ― カプセルの直径・長さ制約、孔の曲がり、酸素・CO₂、長時間立位、途中スタック時の脱出要求等を確認。
  • Servicio Nacional del Patrimonio Cultural / SURDOC,
    Museo Regional de Atacama
    ― 現存するFénix 2の高さ・直径、10個の格納式車輪、ハーネス、酸素ボトル、マイク・スピーカー、所蔵状況を確認。
  • Armada de Chile / ASMAR関連記録
    ― ASMAR Talcahuanoでの製作、複数のFénixカプセルと救出運用を確認。

資料上の注意:
Fénix 2の高さ・重量には資料差がある。Codelcoの2010年報告では高さ約4.5m・重量約250kgとされる一方、Museo Regional de Atacamaの現物登録は高さ395cm・直径53cmであり、ASMAR製同系列カプセルについて400kg台とする資料もある。このため本文では「高さ約4m級・直径約53~54cm」を基本寸法とし、重量は確定値として扱わない。

またNASAが提示した設計要求と、Fénix 2へ実際に実装された仕様は分離している。酸素供給、ハーネス、通信、ローラー等は現物・チリ側資料でも確認できるが、NASAの全提案がそのまま実装されたわけではない。NASA自身も、最終設計・製造はチリ側が行ったと説明している。