STORY SO FAR
前回「打上げ後73秒に何が起きたのか|映像とテレメトリで追う機体崩壊」で確認した論点を受け、この回では海底の残骸は何を語ったのか | 捜索・回収・復元で事故原因を確かめるを生んだ原因連鎖は何か。を扱う。
1986年1月28日、チャレンジャーが上空で崩壊したあと、事故調査はすぐに別の段階へ入った。[4]
映像には、右側Solid Rocket Boosterからの異常な煙と火炎が残っていた。
telemetryには、右SRB chamber pressureの低下、External Tank hydrogen tankの異常、vehicle attitudeの急変が残っていた。
しかし、それだけで事故原因を確定することはできない。
映像は「どこで何が見えたか」を示す。
telemetryは「機体がどう反応したか」を示す。
事故原因を物理的に確定するには、
実際のhardwareにどのような損傷が残っているのか。
その損傷は飛行中に生じたのか、それとも海面衝突や海底で生じたのか。
映像で見えたfailure locationと、回収された部品のburn-through位置が一致するのか。
Orbiter、External Tank、Main Engine、payload側に、事故を先に始めた別の故障がなかったのか。
それらを一つずつ確認する必要があった。
そのため、チャレンジャー事故後の大西洋では、史上でも最大級の航空宇宙事故salvageが始まった。
船。
航空機。
side-scan sonar。
潜水士。
manned submersible。
remotely operated vehicle。
そして、海底から回収した部品を元の機体配置へ近い形に並べ直すreconstruction。
事故原因を決めたのは、一枚の写真でも、一人の証言でもない。
映像、telemetry、試験、設計資料、証言、そして海から引き上げられた物証が互いに一致したことだった。
CASE052-05では、チャレンジャーの捜索・回収・再構成を追いながら、
「残骸から何が確定できたのか」
そして、
「残骸があっても何を確定できなかったのか」
を分けて見る。
先に結論|海底の残骸は事故原因をどう裏付けたのか
最も重要な物証は、右側Solid Rocket Boosterのaft field joint周辺から回収された二つの大きな部品だった。
Search, Recovery and Reconstruction Teamの記録では、これらはContacts #131と#712として管理された。
二つの部品には、右SRB後部field joint付近に大規模なburn-throughが残っていた。
回収部品を元の位置関係へ合わせると、そのburn-through位置は、打上げ直後の黒煙が映像に記録された位置、そして約59秒後に火炎が現れた領域と整合した。
NASAのSearch, Recovery and Reconstruction Teamは、#131と#712によって、右aft field jointのburn-through領域のおよそ90%を回収できたとしている。
これにより、
右SRB aft field jointのpressure integrityが失われた
↓
hot combustion gasが外へ漏れた
↓
External Tankとattachment領域を損傷した
↓
vehicle breakupへ進んだ
という事故scenarioは、映像やtelemetryだけでなく、実際のhardwareによっても裏付けられた。
一方、他の回収物は「別の起点」を消していった。
回収されたSpace Shuttle Main Engineには、事故を開始した内部爆発の証拠がなかった。
Orbiter 構造にも、External Tank崩壊より前に独立して破壊を始めた証拠はなかった。
payloadが事故を開始した証拠もなかった。
回収とreconstructionは、
「右SRBが怪しい」
という仮説を確認するだけではなく、
「他の候補では説明できない」
ことを積み上げる作業でもあった。
そしてcrew moduleについては、逆に大きな限界が残った。
NASAは、乗員区画がOrbiter breakup直後には大部分の形状を保っていたと判断した。
しかし海面衝突による破壊があまりに大きかったため、飛行中にcabin depressurizationが起きたか、乗員がいつ意識を失ったか、直接の死亡原因が何だったかを確定することはできなかった。
事故調査で重要なのは、
「分かったことを確定する」
ことと同じくらい、
「分からないことを分からないまま残す」
ことである。
事故直後|最初の仕事は「救助」と「証拠保全」だった
チャレンジャーが崩壊すると、大量の破片が大西洋へ落下した。
右SRBと左SRBはExternal Tank崩壊後も燃焼を続け、Range Safety Officerによって約110秒後にcommand destructされた。
OrbiterとExternal Tankの破片は、Kennedy Space Center東方の海域へ広く散乱した。
事故直後の段階では、当然ながら最初から「残骸回収」だけを考えていたわけではない。
Search and Rescue assetsが投入され、航空機と船舶は安全区域の外で待機した。
落下する大型debrisの危険がなくなった後、Range Safety Officerが午後12時37分、航空機の安全区域進入を許可した。
その日の夕方までに、複数の航空機・船舶が現場へ集まった。
Search, Recovery and Reconstruction Team Reportによれば、事故当日から2月7日までのsurface searchでは、最大14隻の船と11機の航空機が同時に支援した。[1]
海面に浮いていたOrbiterやExternal Tankの破片は回収され、Port Canaveralへ運ばれた。
しかしsurface searchだけでは足りなかった。
重大な部品の多くは沈んでいたからである。
特に必要だったのは、事故原因として疑われ始めたSolid Rocket Boosterのfield joint周辺だった。
なぜ右SRBの回収が最優先になったのか
事故後数日間で、映像解析は右SRB後部付近の異常を強く示し始めていた。
打上げ直後の黒煙。
約59秒後に現れる火炎。
右SRB chamber pressureの低下。
External Tank方向へ向かうplume。
そのためunderwater salvageの初期優先順位では、右側SRBが最上位に置かれた。
Search, Recovery and Reconstruction Team Reportが示す優先順位は、
- Right-Hand SRB
- Left-Hand SRB
- Orbiter Crew Compartment
- Payload
だった。
これは乗員区画が重要でなかったという意味ではない。
事故原因を特定し、残るShuttle fleetの安全性を判断するためには、最初のfailure originと疑われた右SRBのhardwareをできる限り早く確保する必要があった。
さらにSRBには未燃焼propellantやpyrotechnic deviceが残る可能性があり、回収自体にも大きな危険があった。
海底捜索は「落ちた場所を探す」だけではなかった
空中で崩壊したvehicleの破片は、同じ一点へ落ちない。
部品ごとに、
質量
形状
空気抵抗
破壊時の速度
分離時刻
風
海流
が異なる。
さらにSRBはvehicle breakup後も燃焼し、command destructまで独自のtrajectoryを飛んだ。
そのためNASAと軍は、radarとoptical tracking dataから各debrisのimpact areaを推定した。
海底捜索では、まず「どこを探すか」を計算しなければならなかった。
Search, Recovery and Reconstruction Teamの記録では、underwater search areaは最終的に約480 square nautical miles、約30万acres規模まで拡大された。
水深は100 feet未満に近い場所から約1,200 feetまで変化した。
しかもこの海域はGulf Streamの影響を強く受ける。
SRB debris field付近では4〜5 knot程度のcurrentがあり、sonar towingや潜水作業を難しくした。
これは「海底をcameraで見て拾う」という規模ではない。
広大な海底を計画的にmap化し、異常物体を一つずつ分類する必要があった。
side-scan sonarで海底を塗りつぶす
underwater searchの主力の一つがside-scan sonarだった。
船からsonar sensorを曳航し、海底面へ音波を当てる。
人工物や地形による反射の違いから、「何かがある場所」をcontactとして記録する。
Search Teamは、検索lineを重ねながら海底を走査した。
Gulf Streamに逆らって一定速度を保つ必要があり、多くのmapping runは北から南へ行われた。
戻りの北向き航行では有効dataを集められない場合もあり、作業効率は高くなかった。
それでも、Search, Recovery and Reconstruction Team Reportでは、1986年5月1日までにside-scan sonarで691件のcontactが識別された。
そのすべてがChallengerではない。
海底には、
過去のrocket debris
船舶由来の廃棄物
drum
wire
地形
shell
coral
など多くの物体が存在した。
490件が分類された時点で、408件はShuttle以外、82件がShuttle-relatedと判断された。
つまり、sonarに映った「それらしい物体」の多くは事故残骸ではなかった。
事故調査の海底探索とは、数百の候補から真の証拠を拾い出す作業だった。
sonar contactをどう確認したのか
sonarは位置を絞れるが、物体の正体まで完全には分からない。
そこでcontact確認には、
diver
remotely operated vehicle
manned submersible
が使われた。
写真。
video。
潜水士の観察。
小さなsample。
それらを使って、
Orbiter
External Tank
Right SRB
Left SRB
その他
へ分類した。
3月7日時点のCommission資料では、海上operationはU.S. Navy Supervisor of Salvageが指揮し、11隻の船、manned submersible、2台のROV、複数sonar、数十人のdiverが投入されていた。
後に天候や作業進展に応じて編成は変化している。
重要なのは、単に「たくさんの船で探した」ことではない。
debris locationの推定。
sonar mapping。
contact classification。
recovery。
Port Canaveralへの輸送。
識別番号付与。
reconstruction。
laboratory analysis。
という長いchainが組まれていたことだ。
回収物には一つずつidentityが与えられた
海から引き上げられた金属片は、そのまま「チャレンジャーの残骸」として扱われたわけではない。
Port Canaveralへ運ばれた後、KSCやCape Canaveral Air Force Stationのimpound areaへ移送された。
そこで一つずつvideo撮影・写真撮影され、Quality Assurance personnelによって識別され、tagが付けられた。
各debrisにはidentification numberが与えられ、
到着日時
description
写真番号
回収日時
回収位置
回収した船舶
などがrecord化された。
これは事故調査の証拠管理そのものである。
後から、
「このburn markはどこから回収されたのか」
「このfractureは海面impactによるものか」
「この部品は右側か左側か」
を再確認できなければ、reconstructionの信頼性が失われる。
航空事故調査でも同じだが、wreckageは「物」だけでは証拠にならない。
どこから、どの状態で、どう回収され、どの部位に対応するのか。
そのprovenanceが必要になる。
巨大なジグソーパズルとして再構成する
回収されたOrbiter、External Tank、SRBは、それぞれ別のimpound areaへ置かれた。
OrbiterとExternal Tankのareaにはgridが作られ、元のvehicle configurationに対応する位置へdebrisが並べられた。
部品が増えるにつれてplatformやsupportも作られ、大型部品は元の位置関係に近づけて配置された。
これは機体を「復元して展示する」ためではない。
fracture pattern。
burn pattern。
impact deformation。
missing area。
隣接部品との連続性。
それらを見て、failure sequenceを再構成するためである。
National Transportation Safety Boardもstructural reconstruction and evaluationへ参加した。
航空事故調査で蓄積されたwreckage reconstructionの考え方を、Space Shuttleへ適用した形になる。
右SRBの決定的な物証|Contacts #131と#712
事故原因の確認で最も重要だった回収物の一つが、右SRB aft field jointの二つの部品だった。
Contacts #131と#712である。
#131はaft center segment側。
#712はその下側に対応するaft segment側の一部だった。
これらには大きなburn-through領域が残っていた。
Rogers Commission Chapter IVでは、#131側におよそ307-degree circumferential positionを中心とした大きなholeが確認され、周囲のinsulationとsteel caseには内部から外部へ高温combustion productsが流れたことを示すerosionが残っていたと記録されている。
#712側にも対応するburned edgeとheat-affected areaがあった。
さらに外表面には、外へ噴出したplumeがattachment ring周辺へ当たったことと整合するthermal damageが見られた。
二つの部品を本来の位置関係へ置くと、
打上げ直後にcameraが黒煙を捉えた領域
約59秒後にplumeが現れた領域
SRB/External Tank attachment近傍
と一致した。
Search, Recovery and Reconstruction Teamは、#131と#712でburn-through areaのおよそ90%を含むとしている。
この物証は極めて強かった。
filmで見えた異常位置と、海底から回収したhardwareの実損傷がつながったからである。
物証は「hot gasが内側から外へ抜けた」ことを示した
burned holeを見るだけでは、
「飛行中に内側から焼けたのか」
「vehicle breakup後に外側のfireballで焼かれたのか」
を区別する必要がある。
Recovered hardwareの詳細観察では、burn-through周辺のsteelとinsulationにdirectional erosionが残っていた。
これはSolid Rocket Motor内部の高温gasが外へ流れた場合に整合する。
一方、外表面にはplume impingementによる別のheat-affected areaがあった。
内部からのgas flowと、外へ出たplumeがattachment 構造へ当たった痕跡を分けて読むことができた。
さらにO-ring sealing surface付近にもerosion grooveが確認された。
こうした形状は、
「外側の大火災で偶然この場所が焼けた」
という説明より、
「jointのpressure integrityが失われ、内部combustion gasがこの場所を通過した」
というscenarioに一致した。
recoveryが「他の原因」を消していった
事故調査で原因を確定するには、最も有力なscenarioだけを見るのでは足りない。
別のfailure sourceも調べる必要がある。
Orbiter。
Space Shuttle Main Engine。
External Tank。
payload。
range safety system。
explosive device。
sabotage。
事故後には多くの可能性が検討された。
Recovered hardwareは、それらを絞り込むのにも使われた。
たとえば回収されたSpace Shuttle Main Engineでは、gimbal bearingなどにoverload damageはあったが、engineが内部爆発して事故を始めた証拠はなかった。
Main EngineはExternal Tankからのpropellant supplyが失われるまで機能していたこともtelemetryと整合した。
Orbiter 構造では、External Tank崩壊より前に独立したinternal explosionやstructural failureが始まっていた証拠は見つからなかった。
NTSB reconstructionでは、Orbiterの主要fractureはoverloadで説明され、fatigue、stress corrosion cracking、manufacturing defectが事故を開始した証拠はなかった。
External Tankにもminor weld imperfectionは見つかったが、LH2 tank failureを引き起こしたものではないと評価された。
物証は、原因候補を増やすのではなく、むしろ減らしていった。
どの程度の機体が回収されたのか
Challenger全体が引き上げられたわけではない。
海へ落ちたvehicleを完全回収することは不可能だった。
Search, Recovery and Reconstruction Teamの最終structural evaluationでは、
Orbiter全体の構造は約30%
crew moduleと周辺forward fuselage 構造は約75%
External Tankは約20%
が回収されたとしている。
SRBについては、1986年5月1日時点で左右合わせて42 piecesが回収されていた。[4]
重要なのは割合の大きさだけではない。
事故原因を判断するうえで必要な「critical 証拠」が回収できたかどうかである。
右SRBについては、#131と#712がburn-through領域の約90%を含んでいたため、deep-water SRB recoveryはそこで終了した。
Search Teamは、shallow-water recoveryを含む証拠から、
右SRB failureがinitiating 故障形態であり、
他のflight componentsはその後に壊れた
ことを確認するに十分と判断した。
つまり「全部拾うこと」が目的ではなかった。
事故scenarioを検証するために必要な証拠を、十分な質と量で確保することが目的だった。
Crew compartmentの捜索
乗員区画の捜索は、事故原因調査とは別の意味でも重要だった。
3月7日、diverがcrew compartmentと考えられるdebris areaを特定した。
翌8日以降、U.S. Navyのsalvage teamが現場を詳しく調べ、crew compartmentと乗員の回収作業を進めた。
作業は一度で終わったわけではない。
heavy sea。
強風。
低いunderwater visibility。
複雑に散乱したdebris。
そうした条件の中で複数回のdiveが必要だった。
NASAのchronologyでは、crew cabin recovery operationは4月19日までに完了したとされる。
NASA/JSCの当時の記録では、実地の回収作業は4月18日まで続いたとされている。
日付表現には「最後のdive/recovery完了」と「NASAとしてoperation完了を公表した日」の違いがあるため、このCASEでは「4月18〜19日にcrew compartment recoveryが完了した」と整理する。
Crew moduleはbreakup時に完全破壊されたのか
ここはチャレンジャー事故について非常に誤解されやすい。
巨大なfireballの映像から、
「Orbiter breakupの瞬間にcrew cabinも粉々になった」
と想像されることがある。
しかしrecovered 構造の分析は、それとは異なる。
NTSBを含むstructural evaluationでは、crew moduleはOrbiterから分離した後も、外殻の大部分を含めてessentially intact、ほぼ一体の構造を保ったままAtlantic Oceanまで落下したと判断された。
forward fuselage surrounding 構造も一部残っていた。
crew moduleは、その後のwater impactによる極めて大きなdecelerationで大きく破壊された。
ここで注意しなければならない。
「crew moduleがしばらく一体だった」
ことと、
「乗員が生存・意識を維持していた」
ことは同じではない。
構造物の形が残ることと、内部環境が生命維持可能だったことは別問題である。
breakup直後の力だけでは死亡を説明できなかった
NASAのJoseph P. KerwinによるChallenger Crew Reportは、この点を慎重に扱っている。
NASAの結論では、Orbiter breakup時にcrewへ加わったforcesは、死亡や重大傷害を直接起こすには「probably not sufficient」だった。
つまり、breakupそのものの瞬間に全員が死亡したと断定できる証拠はなかった。
crew compartmentはOrbiterから分離した後も上昇を続け、およそ25秒後に約65,000 feetの高度へ達した。
その後下降し、Orbiter breakupから約2分45秒後に海面へ衝突した。
NASA Crew Reportでは、impact velocityは約207 mph、衝撃は約200 Gと推定されている。
このimpactはcrew compartmentの構造限界もhuman survivability levelも大きく超えていた。
ただし、だからといって、
「乗員はその直前まで意識があった」
と結論づけることはできない。
Personal Egress Air Packの痕跡は何を意味するのか
crew equipmentの回収では、Personal Egress Air Pack、PEAPも調べられた。
PEAPは地上でのemergency egressを想定した携帯breathing air supplyであり、crewがmanualで作動させる必要があった。
回収された4つのPEAPのうち、3つには作動した証拠があった。
この事実から、
「少なくとも一部のcrewがbreakup後に行動していた可能性」
は示される。
しかし、ここでも断定はできない。
NASA Crew Reportは、
誰がどのPEAPを操作したか
いつ作動させたか
作動後どの程度意識を保ったか
を完全には確定していない。
一つはCommanderのものと識別され、これは作動していなかった。
作動していたものの一つはPilotのものと識別された。
残るものは特定crewへ確実には割り当てられなかった。
この情報だけから、個々の乗員の最後の行動を物語化するのは一次資料の限界を超える。
cabin depressurizationは起きたのか
crew survival investigationで最大の論点の一つが、crew moduleのpressureだった。
Orbiter breakup時、crew compartmentが外部構造から分離すれば、電源・oxygen supply・plumbing connectionなど多くのsystemが失われる。
さらにwindowやpressure shellが破損すれば、高高度で急速なdecompressionが起こる可能性がある。
NASAはcrew compartment wreckageを詳細に調べた。
pressure shell。
window。
seat。
floor。
electrical/plumbing feedthrough。
locker内equipment。
しかしwater impactによる損傷があまりに大きく、飛行中にwindowやpressure shellが破れたかどうかを確定できなかった。
一部equipmentにはdecompressionと整合する可能性のあるdamageもあった。
そこでNASAは同種equipmentを実験的にdecompressした。
それでも結果はconclusiveではなかった。
Crew Reportの結論は、
「飛行中にcabin pressure lossが起き、crewが意識を失った可能性はある。しかし確実ではない」
である。
死因はなぜ確定できなかったのか
NASAの最終的な表現は明確である。
the cause of death of the Challenger astronauts cannot be positively determined.
直接の死亡原因をpositiveに確定することはできない。
理由は、crew compartmentのwater impact damageが、その前の約2分45秒の間に起きた可能性のあるdamage 証拠を覆い隠してしまったからである。
これは事故調査上の「失敗」ではない。
物理的証拠に限界がある以上、断定しないことが正しい。
したがって、
「73秒で即死した」
も、
「全員が海面衝突まで意識を保っていた」
も、
NASAのCrew Reportからは支持できない。
支持できるのは、
breakup forcesだけでは死亡・重傷を説明しにくい
crew moduleは海面まで大部分の構造を保った
cabin depressurizationが起きた可能性はある
意識喪失が起きた可能性もあるが確定できない
water impactはsurvivableではなかった
直接の死因は確定できなかった
という範囲である。
「分からない」を残すことも事故調査である
重大事故の記事では、空白があると埋めたくなる。
最後に何を見たのか。
何秒まで意識があったのか。
誰が何をしたのか。
しかし一次資料がそこまで答えていなければ、物語の完成度を上げるために推測を追加してはいけない。
事故調査は小説ではない。
回収された物証が強く示すところでは、はっきり結論づける。
物証が失われたところでは、可能性を並べる。
確定できないところでは、その限界自体を記録する。
Challenger Crew Reportは、その姿勢をよく示している。
reconstructionで分かったOrbiterの壊れ方
recovered debrisのstructural evaluationは、Orbiter全体の故障形態についても重要な情報を与えた。
約30%のOrbiter 構造が回収された。
fracture surfaceを調べた結果、主要な破断はoverloadで説明され、事故前から進行していたfatigue crackやstress corrosion crackingが事故を始めた証拠は見つからなかった。
External Tankが崩壊し、right SRBの拘束が失われた後、Orbiterは本来想定されていない大きなaerodynamic loadとinertial loadを受けた。
右SRBがOrbiter right wingへ接触した証拠もreconstructionから示された。
つまりOrbiterは、
「内部で先に爆発した」
のではなく、
「周囲のlaunch stackが破綻した結果、過大荷重を受けて構造分解した」
というCASE052-04の映像解析と整合した。
External Tankの残骸は何を示したのか
External Tankも約20%が回収され、intertankとliquid hydrogen tankの構造が多く含まれていた。
recovered wreckageには、hydrogen tank後部のfailureと右SRBの回転衝突に整合するdeformationが残っていた。
intertankには前後方向のbuckling。
右側にはcrushing。
これらは、hydrogen tank aft側の急激な破壊と、lower attachmentを失ったright SRBがtankへ回転したscenarioに一致した。
一方で、External Tank自体に事故を先に始める独立failureがあったという証拠は見つからなかった。
minor weld imperfectionなどは確認されたが、LH2 tank failureのinitiating causeではないと判断された。
映像で見えたtank destruction。
telemetryで見えたpressure loss。
wreckageに残ったbucklingとcrushing。
三つが同じfailure sequenceを指した。
右SRB以外の回収物も重要だった
事故原因が右SRBにあるなら、他の部品回収は無駄だったのか。
そうではない。
「右SRB起点」という結論を強くするには、
他のelementが先に壊れていない
ことを確認する必要がある。
Main Engine。
Orbiter 構造。
External Tank。
payload。
それぞれのrecovered 証拠が、別原因の可能性を下げた。
これはfault tree analysisそのものである。
可能性を一つ選ぶのではなく、
候補を並べる
↓
必要な証拠を定義する
↓
映像・telemetry・wreckageで照合する
↓
整合しないbranchを落とす
↓
最後に残るscenarioのconfidenceを上げる
という方法で事故原因を絞る。
事故調査における「物証」の強さ
証言には記憶の問題がある。
映像には画角の問題がある。
telemetryにはsensorとsamplingの限界がある。
analysis modelには仮定がある。
物証も万能ではない。
海面impactで壊れる。
海水で腐食する。
回収できない部分もある。
それでも、複数種類の証拠が同じ結論へ収束すると、事故scenarioは強くなる。
チャレンジャーでは、
cameraが右aft field jointから煙を記録した。
約59秒後に同じ付近からplumeが出た。
telemetryで右SRB pressureが低下した。
External Tank側でhydrogen leakが始まった。
回収されたright SRB aft field jointにburn-throughがあった。
そのhole locationが映像上のanomaly locationと一致した。
External Tank debrisはその後のcollapse scenarioと一致した。
Orbiter debrisはaerodynamic overload breakupを示した。
Main Engineにはinitiating failureの証拠がなかった。
この証拠 chainが、Rogers Commissionのcause findingを支えた。
検証ポイント|Search / Recovery / Reconstruction
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| Surface search | 事故直後から開始。1月28日〜2月7日を中心に実施 |
| 最大投入規模の例 | surface phaseで最大14 ships / 11 aircraft |
| Underwater search | U.S. Navy Supervisor of Salvageを中心に実施 |
| Search area | 最終的に約480 square nautical miles |
| 海況 | Gulf Stream、SRB areaで約4〜5 knotのcurrent |
| 水深 | 約100〜1,200 ft規模 |
| 主要手段 | side-scan sonar、diver、ROV、manned submersible |
| Sonar contacts | 5月1日までに691 contacts identified |
| 分類済みcontacts | 490件中82件がShuttle-related |
| 右SRB重要物証 | Contacts #131 / #712 |
| #131/#712 | right aft field joint burn-through areaのおよそ90%を含む |
| Orbiter recovery | structural evaluationで約30% |
| Crew module周辺 | 約75% |
| External Tank | 約20% |
| Crew compartment | 3月7〜8日にsiteを確認、4月18〜19日にrecovery完了 |
| Crew module | Orbiter breakup後もessentially intactで海面まで降下したと評価 |
| Crew death cause | NASAはpositive determination不能と結論 |
| Initiating cause | right SRM aft field joint pressure seal failure |
技術事故で「回収」が必要な理由
プラント事故でも、焼損した配線や破断したshaft、溶着したcontact、ruptureしたpipeを廃棄してしまえば、事故原因の確度は大きく落ちる。
事故後には現場を早く片づけたい圧力がかかる。
しかしinvestigationの観点では、
位置を記録する
写真を残す
識別番号を振る
回収時の状態を保存する
再配置する
必要なsampleを取る
という証拠保全が重要になる。
Challenger recoveryでは、海底という極端に難しい条件の中でそれを行った。
しかも対象は巨大なlaunch vehicleで、危険なpropellantやpyrotechnicも残っていた。
それでも#131と#712を回収できたことで、事故原因は「映像からの推測」ではなく「物理的なburn-throughを伴うjoint failure」まで確定できた。
残骸は「何でも教えてくれる」わけではない
一方で、crew module調査は逆の教訓を示した。
大部分を回収しても、impactによって証拠が壊れていれば、過去の状態を完全には戻せない。
wreckageは時間を巻き戻す装置ではない。
残っているdamageが、
flight breakup時のdamage
fall中のdamage
water impact damage
海底でのdamage
recovery時のdamage
のどれなのかを分けられなければ、確定できない。
だから事故調査では、
「回収したから分かる」
のではなく、
「回収した物証が、どこまで過去の状態を保持しているか」
を評価する必要がある。
この回収作業が事故原因確定へ与えた意味
もしright SRB aft field jointのcritical piecesが回収できなかったとしても、映像とtelemetryだけで右SRB起点説はかなり有力だっただろう。
しかし「有力」と「物理的に裏付けられた」は違う。
Contacts #131/#712によって、
holeがあった。
内部hot gasによるerosionがあった。
plume impingementに整合するheat damageがあった。
位置がcameraのsmoke/plumeと一致した。
という具体的な証拠が得られた。
この一致が、Rogers Commissionの最終cause findingを強くした。
さらに他のcomponent reconstructionがalternative causeを消していった。
事故原因は、一つの派手な証拠から決まったのではない。
多くの小さな証拠が同じ方向を指した結果として決まった。
次回|ロジャース委員会は何を明らかにしたのか
CASE052-03では、field jointとOリングのmechanismを見た。
CASE052-04では、そのfailureが73秒でvehicle lossへ拡大する過程を追った。
CASE052-05では、海から回収されたhardwareが、そのscenarioを物証として裏付けた。
ここまでで「何が物理的に起きたか」はかなり明確になった。
しかし、チャレンジャー事故の調査が歴史的に重要なのは、その先である。
なぜCriticality 1のjointでerosionとblow-byが繰り返されても、飛行は続いたのか。
なぜ前夜のNO GO recommendationと技術者の反対が上位decisionmakerへ届かなかったのか。
なぜ安全部門は、打上げ判断の中心にいなかったのか。
なぜNASA managementとworking engineerのrisk perceptionは大きく離れていたのか。
CASE052-06では、Rogers Commissionの報告をもとに、事故を「Oリング事故」から「組織事故」へ広げて読む。
FACT CHECK|出典・参考資料
- [1] Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Volume III, Appendix O: NASA Search, Recovery and Reconstruction Task Force Team Report
- [2] Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Report, Chapter IV: The Cause of the Accident
- [3] Presidential Commission hearings, March 7 and March 21, 1986: Search / Recovery / Reconstruction
- [4] NASA, Challenger Crew Report, Joseph P. Kerwin, July 28, 1986
- [5] NASA, Release on Challenger Transcript and Cause-of-Death Report
- [6] NASA historical chronology, Astronautics and Aeronautics 1986
- [7] U.S. Navy History and Heritage Command, Challenger STS-51L and NASA
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