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フランク・モリスとアングリン兄弟は誰だったのか4人目アレン・ウェストと脱獄計画

フランク・モリスとアングリン兄弟は誰だったのか|4人目アレン・ウェストと脱獄計画

脱獄・逃亡事件

1962年6月12日の朝、アルカトラズ連邦刑務所から消えていたのは3人でした。

フランク・モリス、ジョン・アングリン、クラレンス・アングリン。

しかし、脱獄計画そのものを進めていたのは3人ではありません。

もう1人いました。

アレン・ウェスト。

ウェストも監房後部の壁を削り、偽の頭部を作り、筏や救命具を準備した計画参加者でした。

ところが6月11日夜、彼だけが予定どおり監房から出ることができませんでした。

その結果、翌朝の刑務所にはウェストが残り、3人だけが消えていました。

そして皮肉にも、取り残されたウェストの証言が、FBIが脱獄計画を再構成するための重要な手掛かりになります。

この事件はしばしば「天才的なフランク・モリスとアングリン兄弟による脱獄」として語られます。

しかし、公的記録を追うと実態はもう少し複雑です。

3人は脱獄当日に初めて組んだ仲間ではありませんでした。以前の刑務所でも接点があり、アルカトラズでは近接した監房へ収容され、そこへウェストを加えた4人で数か月にわたる準備を進めています。

この記事では、4人を英雄的な「脱獄チーム」として扱うのではなく、

誰がアルカトラズへ送られ、誰と以前から接点があり、どのように4人の計画が形成され、なぜ最後には3人だけになったのか

を公的資料から整理します。

この記事で分かること

  • フランク・モリスがどのような経歴でアルカトラズへ送られたのか
  • ジョン・アングリンとクラレンス・アングリンがどのような犯罪で服役していたのか
  • 3人がアルカトラズ以前から面識を持っていたこと
  • なぜFBIはモリスを計画の中心人物としているのか
  • アングリン兄弟にも過去の逃亡・脱獄企図があったこと
  • アレン・ウェストが計画でどのような位置にいたのか
  • 4人がどのように脱獄準備を分担したのか
  • ウェストがなぜ6月11日夜に取り残されたのか
  • 「ウェストが首謀者だった」という説をどう扱うべきか
  • ウェストの証言がなぜ事件捜査で重要になったのか

CASE FILE 12|アルカトラズ脱獄事件特集(全10回)

この特集では、アルカトラズ連邦刑務所の構造、4人の計画者、数か月に及んだ工作、1962年6月11日夜の脱出、FBIによる捜索、湾内で発見された物証、生存可能性、生存説、映画と史実、現在まで続く逃亡者捜索を10本の記事で追います。


  1. 第1回 アルカトラズ脱獄事件とは?|1962年、消えた3人と未解決の脱獄を追う

  2. 第2回 なぜアルカトラズから逃げられたのか|監房・通路・島を囲む海の構造

  3. 第3回 フランク・モリスとアングリン兄弟は誰だったのか|4人目アレン・ウェストと脱獄計画【現在の記事】

  4. 第4回 スプーン、偽の頭、50着超のレインコート|脱獄道具と秘密の作業場

  5. 第5回 1962年6月11日夜、3人はどう脱獄したのか|監房から北東岸までのルート

  6. 第6回 FBIは何を見つけたのか|パドル、救命胴衣、漂流物と大捜索

  7. 第7回 3人はサンフランシスコ湾を渡れたのか|潮流・水温・筏と生存可能性

  8. 第8回 アルカトラズ脱獄の生存説はどこまで確かか|手紙・写真・家族証言を検証

  9. 第9回 映画『アルカトラズからの脱出』はどこまで実話なのか|1962年脱獄との違いを検証

  10. 第10回 アルカトラズ脱獄事件のその後|FBI捜査終了と現在も続く3人の手配

今回は道具の作り方そのものではなく、計画に参加した4人の経歴と関係、そして6月11日夜に「4人の計画」が「3人の失踪」へ変わった理由を中心に整理します。

4人の計画だった

1962年のアルカトラズ脱獄事件について、現在FBIが公式に挙げている計画参加者は4人です。

人物 事件での位置づけ
フランク・モリス 脱獄者。FBIは計画を主導した人物と説明
ジョン・アングリン 脱獄者。クラレンスの兄
クラレンス・アングリン 脱獄者。ジョンの弟
アレン・ウェスト 計画参加者。脱獄当夜に監房から出られず残留

重要なのは、この4人が「偶然同じ夜に逃げようとした囚人」ではないことです。

数か月にわたり、

  • 監房後部の壁を削る
  • 穴を隠す
  • 監房裏の設備通路を利用する
  • セルブロック上部へ上がる
  • 見張りを行う
  • ダミーヘッドを作る
  • レインコートを集める
  • 筏と救命具を作る
  • 屋根への出口を準備する

という複数の作業を進めていました。

脱獄は、1人だけで完結する計画ではありませんでした。

フランク・モリス|FBIが「計画を主導した」とする人物

フランク・リー・モリスは1926年生まれです。

U.S. Marshals Serviceの現在の記録では、生年月日は1926年9月1日、出生地はワシントンD.C.とされています。

アルカトラズへ送られる以前から、銀行関連犯罪や窃盗などで刑務所生活を繰り返していました。

FBIはモリスについて、

銀行強盗、侵入窃盗などで有罪となり、複数の刑務所で繰り返し逃亡を試みていた

と説明しています。

FBI Vaultに残る犯罪歴では、ルイジアナ州スライデルの銀行への侵入事件で刑を受け、1956年に連邦刑務所へ収容された記録が確認できます。

また、裁判を待っている間にも逃走を試みた記録があります。

こうした過去の逃亡歴を持つ囚人を、より厳重な施設へ移すことは、アルカトラズが担った役割の一つでした。

モリスは1960年1月にアルカトラズへ移送されます。

「天才」という説明には注意が必要

映画や一般向けの記事では、モリスについて「IQが非常に高かった」「天才犯罪者だった」といった説明がしばしば使われます。

しかし、本特集ではこうした評価を事件説明の中心には置きません。

現在のFBI公式ページで確認できる重要な記述は、

モリスが知性で知られ、脱獄計画で主導的な役割を担った

という点です。

特定のIQ数値や「天才だから成功した」という単純な因果関係は、公的資料で確認できる事件の核心ではありません。

この計画で重要なのは、1人の知能指数ではなく、

  • 刑務所内部を観察すること
  • 壁材を少しずつ除去すること
  • 作業を隠すこと
  • 廃材や日用品を工具へ転用すること
  • 長期間発見されず作業を続けること
  • 他の参加者と協力すること

でした。

ジョン・アングリン|兄弟の兄

ジョン・ウィリアム・アングリンは1930年生まれです。

U.S. Marshals Serviceは、生年月日を1930年5月2日、出生地をジョージア州としています。

FBIの記録には、若い頃から窃盗などで警察・司法機関との接触があり、その後銀行強盗で連邦刑務所へ収容された経歴が残っています。

ジョンは弟クラレンスとともに犯罪へ関与しており、2人は銀行強盗事件などで服役しました。

そして重要なのが、アルカトラズへ送られる以前にも、兄弟側に逃亡・脱獄への関与歴があったことです。

FBI Vaultには、兄弟が収容されていた刑務所でクラレンスが脱獄を試みた際、ジョンにも関与の疑いが持たれた記録が残っています。

ただし、ジョン自身はその脱獄企図への関与を否定しており、この件を「兄弟2人による確定した共同脱獄」とまでは扱えません。

クラレンス・アングリン|箱に隠れた過去の脱獄企図

クラレンス・アングリンは1931年生まれです。

U.S. Marshals Serviceは、生年月日を1931年5月11日、出生地をジョージア州としています。

兄ジョンと同様、銀行強盗などで連邦刑務所へ収容されました。

クラレンスについては、アルカトラズ以前の脱獄企図がFBI記録に具体的に残っています。

収容先の刑務所で、クラレンスはパンを運ぶための大型容器・箱を利用して施設外へ出ようとしました。

FBI記録では、容器内部へ身を隠し、即席のナイフや鉄棒を所持していたところを発見されたとされています。

計画は失敗しました。

そしてこの事件を含む逃亡リスクが、より厳重な施設であるアルカトラズへの移送につながっていきます。

つまり、1962年に突然「脱獄を思いついた兄弟」ではありません。

少なくともクラレンスには、その前から刑務所の管理構造を利用して外へ出ようとした具体的な経歴がありました。

モリスとアングリン兄弟はアルカトラズで初めて会ったわけではない

ここが、4人の計画形成を考えるうえで重要です。

FBIは、

モリス、ジョン・アングリン、クラレンス・アングリンの3人は、以前の刑務所生活ですでに互いを知っていた

と説明しています。

つまり、

アルカトラズの隣接監房で初めて知り合い、その場で脱獄計画を作ったわけではありません。

刑務所生活という共通の履歴を通じて、すでに相互に接点がありました。

アルカトラズでは3人が近接する監房へ配置されます。

そこへアレン・ウェストが加わりました。

結果としてBブロック内に、

  • 以前から面識を持つ3人
  • 脱獄へ加わる4人目
  • 監房後部から共通設備通路へ出られる構造

がそろうことになります。

アングリン兄弟という関係は、計画でどこまで重要だったのか

ジョンとクラレンスは兄弟です。

このため後世の物語では、「息の合った兄弟だから脱獄できた」と説明したくなります。

しかし、公的記録から兄弟の心理的な結びつきまで断定することはできません。

確認できるのは、

  • 2人が実の兄弟だったこと
  • ともに犯罪歴があったこと
  • 同じ銀行強盗事件などで刑務所生活を経験していたこと
  • 以前の刑務所でも同時期に収容されていたこと
  • アルカトラズでも同じ脱獄計画へ参加したこと
  • 1962年6月11日夜に2人ともモリスとともに島から姿を消したこと

です。

「兄弟だから互いを完全に信頼していた」「兄弟の結束が成功要因だった」といった心理描写は、確認された事実ではありません。

4人目のアレン・ウェストとは誰だったのか

アレン・クレイトン・ウェストもアルカトラズの囚人でした。

National Archivesが公開するアルカトラズ収容者一覧にも、Allen Clayton Westの名前が記録されています。

ウェストは、モリスとアングリン兄弟の計画へ途中から傍観者として加わった人物ではありません。

FBIの現在の説明では、4人全員が、

  • 監房後部の開口部を作る
  • 設備通路へ出る
  • セルブロック上部の作業場を利用する
  • 脱獄に必要な道具を作る

計画へ参加していました。

2018年、FBIが保存していたダミーヘッドを3Dスキャンして複製した際にも、

モリス、ジョン、クラレンス、ウェストの4人がダミーヘッドを作った

と公式に説明しています。

つまりウェストは、「脱獄後に話を知っていた囚人」ではなく、明確な計画当事者でした。

誰が脱獄計画を考えたのか

ここには、資料上の注意が必要です。

現在のFBI公式ページでは、

モリスが計画を主導した

とされています。

一方、Federal Bureau of Prisonsはアレン・ウェストについて、

一部では首謀者だったと考えられている

という説明も掲載しています。

したがって、

「誰か1人がすべてを考え、残り3人へ命令した」

という形へ単純化するのは避けるべきです。

現在の公的説明として最も明確なのは、

  • 4人が計画に参加した
  • FBIはモリスが主導したと説明している
  • ウェストも準備へ深く関わっていた

というところまでです。

計画は1961年12月ごろから具体化した

FBIによる事件後の再構成では、4人は1961年12月ごろから脱獄準備を本格化させました。

きっかけの一つとして、古い鋸刃を入手したことが挙げられています。

それから数か月をかけて、各自の監房後部にある通気口周辺へ小さな穴を開け続けました。

一度に壁を破壊したのではありません。

毎晩少しずつ作業し、朝までに作業箇所を隠しました。

開口部が十分に広がると、監房裏の設備通路へ入り、そこからセルブロック上部へ移動できるようになります。

その上部空間が、4人の秘密作業場になりました。

計画には「個人作業」と「共同作業」があった

1962年の脱獄準備は、すべてを4人並んで作業したわけではありません。

大きく分けると、

作業 性質
各監房後部の開口部を作る 各自の監房で行う個別作業
作業跡を隠す 各自の監房で必要
設備通路へ抜ける 共通経路
見張り 共同作業
筏・救命具の製作 セルブロック上部での共同準備
パドル等の製作 共同準備
屋根への出口準備 共同脱出経路
ダミーヘッド 各監房で不在を隠すため使用

という形になります。

この構造が6月11日夜の結果を理解するうえでも重要です。

共同のルートが完成していても、最初に自分の監房から出られなければ、その後の経路へ参加できないからです。

1962年6月11日夜――ウェストだけが監房から出られなかった

計画実行日は1962年6月11日でした。

モリス、ジョン、クラレンスは、それぞれ監房後部の開口部を通って設備通路へ出ました。

ところがウェストには問題が起きます。

現在のFBI公式説明では、

ウェストは自分の監房の換気口グリルを完全に取り外すことができておらず、予定どおり外へ出られなかった

とされています。

他の3人は待ち続けませんでした。

モリスとアングリン兄弟は設備通路を進み、セルブロック上部で準備していた筏などを回収して屋根へ向かいました。

4人の計画は、この時点で3人の脱獄へ変わりました。

ウェストはその後、自分で穴を広げて外へ出た

事件直後のFBI捜査記録には、ウェストが取り残された後の行動も記録されています。

ウェストはその夜、自分の監房後部の開口部をさらに広げました。

そして最終的には設備通路側へ出ることに成功します。

そこから上部へ向かいましたが、すでに3人はいませんでした。

ウェストは1人で脱獄を続けず、最終的に監房へ戻って朝を迎えました。

この記録は重要です。

ウェストが「直前になって最初から脱獄を拒否した」とだけ説明するより、

予定時刻に監房から出られず、3人に置いていかれ、その後ようやく経路へ出た

と見る方が、FBIの初期捜査記録と整合します。

FACT CHECK|ウェストは自分から脱獄をやめたのか

この点は資料によって表現が異なります。

現在のFBI公式ページでは、

ウェストは換気口グリルを完全に外せず、取り残された

とされています。

1962年6月19日付のFBI捜査概要にも、ウェストに相当する4人目の計画者がその夜に穴を完成させ、屋根方向へ出たものの、3人がすでに去ったことを確認して監房へ戻った経過が記録されています。

一方、National Park Serviceの歴史資料には、ウェストが最終的に「行きたくない」と判断して残ったとする記述も存在します。

したがって資料間に差があります。

本特集では、事件直後のFBI捜査記録と現在のFBI公式説明を優先し、

「ウェストは予定時刻までに監房から出られず、3人に取り残された」

を基本的な再構成として扱います。

後世の資料に異なる説明があること自体は、記録上の差として残します。

ウェストが残ったことで、FBIは計画の内側を知ることができた

翌朝、モリスとアングリン兄弟の不在が確認されると、大規模な捜索が始まりました。

刑務所内では、

  • 監房後部の穴
  • ダミーヘッド
  • 設備通路
  • セルブロック上部の作業場
  • 残された工具

などが発見されます。

しかし、物証だけでは計画のすべてを説明できません。

そこで重要になったのがウェストでした。

FBIは現在も、

脱獄できなかったアレン・ウェストから情報提供を受け、計画を再構成した

と説明しています。

ウェストの説明によって、

  • いつ頃から準備を始めたのか
  • どのように壁を削ったのか
  • 設備通路をどう利用したのか
  • 筏をどう作ったのか
  • 島を出た後どこへ向かう計画だったのか

などが捜査側へ伝わりました。

結果としてウェストは、

脱獄に参加した4人目であると同時に、脱獄後の捜査で内部情報を提供した人物

という二つの立場を持つことになります。

3人は海へ出た後、何をする計画だったのか

ウェストから得た情報を含むFBIの初期記録では、3人はアルカトラズを離れた後、

まずエンジェル島へ向かう計画だったとされています。

その後、ラクーン海峡を越え、マリン郡側へ入る。

さらに上陸後には、

  • 衣服などを手に入れる
  • 武器を確保する
  • 自動車を盗む
  • 地域を離れる

計画だったという情報もFBIへ伝えられました。

ただし、これは計画です。

実際に3人がエンジェル島へ到達したこと、マリン郡へ上陸したこと、自動車を盗んだことを証明するものではありません。

実際、こうした上陸後の計画が確認できなかったことは、後にFBIが3人の生存へ否定的な評価をする材料の一つになります。

4人を「専門分業チーム」と考えるのも慎重であるべき

後世の解説では、

  • モリス=頭脳
  • アングリン兄弟=工作担当
  • ウェスト=計画担当

のように、4人へ明確な専門職を割り当てる説明が見られることがあります。

しかし、公的記録からそこまで明確な役割分担を確定することはできません。

FBI資料から確認できるのは、

  • モリスが計画を主導したとされること
  • 4人が各自の監房で開口部を作ったこと
  • 4人が秘密作業場を利用したこと
  • 見張りを交代で行ったこと
  • 筏、救命具、パドルなどを共同で準備したこと

です。

したがって、

「この人物だけが筏を設計した」「この人物だけが工具を作った」

といった細かい分業は、根拠が確認できない限り固定しません。

彼らは「脱獄のプロ集団」だったのか

4人の経歴を見ると、少なくともモリスとアングリン兄弟には逃亡・脱獄に関係する過去があります。

しかし、

脱獄の専門家4人がアルカトラズへ集められた

という表現も正確ではありません。

アルカトラズは、逃亡歴だけを理由に囚人を選ぶ施設ではなく、他施設では管理が難しいと判断された囚人を集中的に収容する高警備刑務所として運用されました。

4人それぞれが異なる犯罪歴と収容歴を持っています。

その中で、

  • 以前から面識があった
  • 近接した監房へ配置された
  • 建物構造を観察した
  • 数か月作業を続けられた

という条件が、1962年の計画へつながりました。

過去の脱獄歴だけでは1962年の成功を説明できない

モリスには繰り返し逃亡を試みた経歴がありました。

クラレンスにも別の刑務所での脱獄企図がありました。

それでも、それ以前の試みは成功していません。

1962年のアルカトラズで異なっていたのは、

  • 複数人による長期間の準備
  • 監房裏の設備通路
  • セルブロック上部の隠れた作業空間
  • 自作工具
  • ダミーヘッド
  • 海上用の筏
  • 夜間点呼を利用した時間確保

が、一つの計画として組み合わされたことです。

人物の経歴だけを見るより、

人物・建物・時間・工具がどのように組み合わされたか

を見る必要があります。

6月11日夜、4人の運命は分かれた

実行直前まで、計画参加者は4人でした。

しかし、一つの監房の開口部が予定どおり完成していなかったことで結果は変わります。

フランク・モリス
監房から設備通路へ

ジョン・アングリン
監房から設備通路へ

クラレンス・アングリン
監房から設備通路へ

アレン・ウェスト
開口部を予定どおり通過できず

取り残される

3人は先へ進みました。

ウェストはその後ようやく監房から出ましたが、追いつくことはできませんでした。

もしウェストの開口部が予定どおり完成していれば、1962年6月12日の朝に消えていたのは4人だった可能性があります。

しかし、それは起きなかった仮定です。

確認できる歴史は、

4人が準備し、3人が島から姿を消し、1人が刑務所へ残った

というものです。

よくある疑問

フランク・モリスは本当に脱獄計画のリーダーだったのか

現在のFBI公式ページは、モリスが知性で知られ、計画を主導したと説明しています。ただし、すべてをモリス1人が設計したとする意味ではありません。4人が実際の準備へ参加しています。

モリスとアングリン兄弟はアルカトラズで初めて会ったのか

いいえ。FBIは3人が以前の刑務所生活ですでに互いを知っていたと説明しています。

アングリン兄弟は何の罪で服役していたのか

兄弟には銀行強盗を含む犯罪歴があり、連邦刑務所へ収容されていました。FBIの記録にはジョンの窃盗・銀行強盗歴や、クラレンスの別施設での脱獄企図も残されています。

アレン・ウェストも脱獄する予定だったのか

はい。FBIはウェストを4人目の計画参加者として明確に扱っています。監房後部の開口部を予定時刻までに通過できなかったため、6月11日夜の脱獄には加われませんでした。

ウェストは怖くなって脱獄をやめたのか

資料によって表現差があります。現在のFBI説明と事件直後のFBI捜査記録では、ウェストは開口部を完全に開けられず取り残されたとされています。一方、後年のNPS資料には自ら残ったとする説明もあります。本特集ではFBIの初期捜査記録を優先します。

ウェストが首謀者だったのか

Federal Bureau of Prisonsは、ウェストを首謀者だったと考える人もいることを紹介しています。しかし現在のFBI公式説明はモリスが計画を主導したとしています。「ウェストが唯一の首謀者だった」と確定する資料としては扱いません。

なぜウェストの証言は重要なのか

ウェストは計画の内側にいた唯一の人物で、翌朝も刑務所内に残りました。そのためFBIは、壁を削った方法、秘密作業場、筏、脱獄後の予定などを再構成する際にウェストから情報を得ています。

まとめ|消えたのは3人。しかし計画したのは4人だった

1962年のアルカトラズ脱獄事件は、フランク・モリスとアングリン兄弟だけで準備された計画ではありませんでした。

モリス、ジョン・アングリン、クラレンス・アングリン、アレン・ウェスト。

4人が監房後部の壁を削り、設備通路へ入り、セルブロック上部を秘密の作業場として使い、筏や救命具、ダミーヘッドなどを準備しました。

FBIはモリスを計画の主導者としていますが、ウェストも準備へ深く関与した計画当事者です。

そしてモリスとアングリン兄弟はアルカトラズで初めて知り合ったわけではなく、以前の刑務所生活から互いを知っていました。

4人には、それぞれ刑務所生活と逃亡リスクに関係する背景がありました。

しかし6月11日夜、結果を分けたのは人物像ではなく、非常に物理的な問題でした。

ウェストの監房後部の開口部が、予定どおり通れる状態になっていなかった。

モリスとアングリン兄弟は先へ進みました。

ウェストは取り残されました。

そしてそのウェストが、翌日以降のFBI捜査で脱獄計画を説明する人物になります。

次回は、4人が実際に何を作っていたのかへ視点を移します。

壁を削るための即席工具、人間が寝ているように見せる偽の頭、50着を超えるレインコートから作った筏、木製パドル、そして空気を送り込むために改造された楽器。

第4回「スプーン、偽の頭、50着超のレインコート|脱獄道具と秘密の作業場」では、刑務所内の日用品がどのように脱獄装備へ変えられたのかを追います。

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アルカトラズ脱獄事件特集


  1. アルカトラズ脱獄事件とは?|1962年、消えた3人と未解決の脱獄を追う

  2. なぜアルカトラズから逃げられたのか|監房・通路・島を囲む海の構造

  3. フランク・モリスとアングリン兄弟は誰だったのか|4人目アレン・ウェストと脱獄計画【現在の記事】

  4. スプーン、偽の頭、50着超のレインコート|脱獄道具と秘密の作業場

  5. 1962年6月11日夜、3人はどう脱獄したのか|監房から北東岸までのルート

  6. FBIは何を見つけたのか|パドル、救命胴衣、漂流物と大捜索

  7. 3人はサンフランシスコ湾を渡れたのか|潮流・水温・筏と生存可能性

  8. アルカトラズ脱獄の生存説はどこまで確かか|手紙・写真・家族証言を検証

  9. 映画『アルカトラズからの脱出』はどこまで実話なのか|1962年脱獄との違いを検証

  10. アルカトラズ脱獄事件のその後|FBI捜査終了と現在も続く3人の手配

出典・参考資料

本記事はFBI、FBI Vault、Federal Bureau of Prisons、National Archives、U.S. Marshals Serviceなどの公的資料を中心に、1962年の脱獄計画へ参加した4人の関係と収監歴を整理しています。人物の性格、心理、相互の信頼関係など、公的資料から確認できない内容は補完していません。計画の主導者については、現在のFBIはフランク・モリスが主導したと説明する一方、Federal Bureau of Prisonsはアレン・ウェストを首謀者とみる説にも触れているため、「唯一の首謀者」を断定していません。また、ウェストが脱獄当夜に残った理由について資料差があるため、事件直後のFBI捜査記録と現在のFBI説明を優先し、異説の存在も明記しています。